震災時に車中泊ができない(荷室が平らにならない)

 熊本で震度7の地震が起きた。余震が怖くて家の中で寝られず、屋外で寝たという人が多数いた。事実、24時間以上たった深夜に再度震度7の地震が起こって、木造アパートが潰れたり、山崩れで家が埋まり、死者数は最初の震度7の時より大きく上回った。テレビの専門家は、屋外に避難してくださいと呼びかけていた。

 屋外に避難し一夜…物資準備不足指摘の声も(毎日新聞2016年4月16日)

 地震が起きたあと、潰れる屋内で寝ずに、自家用車で寝ていれば助かった命が多数いたのは明らかだ。東日本大震災の時も、数千人の人が真冬に何日も屋外に避難した。避難所もなく家の外に待機するとなると、普通考えるのは雨風が防げる自家用車しかない。地方なら一人一台ある。プライバシーも守れ、避難所の代わりになるのが自動車だ。ところがほとんどの車で、後部座席を倒した時、荷室が平らにならないのだ。
 東日本大震災が起きて5年が経つ。何日も車で寝起きすることがあったのに、最近の新車のミニバンでさえ、荷室で寝られるような傾向は見られない。後部座席は倒しても、斜めのままだ。いつも椅子に座って寝る人など、世の中にいない。シートでなく真っ平らな所で寝たいのだ。熊本では車中泊の避難者にエコノミークラス症候群が多発して、死者が出ている。自動車会社は、震災時に車中泊をすると死んでしまうような車を作っているわけだ。5年前に車が避難所となるとは理解できなかった、開発者の無能ぶりしか理解できない。大震災を経験した日本の自動車会社としてとてもがっかりで、人間味の無さを感じる。
 荷室の機能としてもおかしい。良い例が、なんとアウトドアを売りにするスバル・レヴォーグや、日本を代表する車トヨタ・カローラ(ワゴンタイプ)で、あと少しで平らになるのに、中途半端に斜めなのだ。開発者のベッドは斜めなのか?自宅の押し入れが斜めだったら、欠陥住宅と言うだろう。荷室とは、平らな部分を言う。倉庫の床が斜めだったら、荷物は置けない。
 日本は首都直下や南海沖など、いつでもどこででも大地震・大津波が来る。これからは自家用車を防災用品と同列に捉え、避難所として使える「死なない車」を選ぶのが良い。改悪になった新型プリウスや人気のアクアなど、いざという時、命を落とすような平らに寝られない車は避けるべきだろう。車中泊に適した車という素晴らしいサイトがあるので、車を買おうとする際は参考にできる。
 トヨタ・ナディアは、荷室が真っ平らで、凸凹が一切ない。180cm位あり、足が伸ばせ、畳に寝るような気持ちよさだ。

 
 私の兄の愛車で、カーレース観戦が好きで、山口から大分オートポリスや鈴鹿サーキット、富士スピードウェイにまで見に行く(元AE86レビン所有者)。その際、真っ平らな荷室に布団を敷いて車中泊する。家で寝るのと同じだ。トヨタの豊田章男社長がレース好きだとアピールしているが、そうであれば彼らと同じように、本物のクルマ好きが鈴鹿富士でしている車中泊はしているだろうか?車の「すべての体験」を通して、彼らはカーレースを楽しんでいるのだが。
 ホンダは例外だ。売れ筋のヴェゼルや小型車フィット、シャトル、その前のエアウェイブ、軽自動車まで、非常に高い比率で後席を倒せば完全に平らになる。
 Googleの「車中泊」の検索ヒット数は9,050,000件。「サッカー」の検索ヒット数は60,000,000件。免許のない子供も検索するサッカーの1/6もある。中高年退職者が、道の駅などで車中泊しながら車で日本を旅するニュースが何度も放送されてる。いかに関心が高いか、「本当はクルマ好きでない」自動車会社のサラリーマンには知る由もないのだろう。
 このトヨタのタウンエースとライトエース(今のノア、ヴォクシー)を知っているだろうか。二段ベッドがある。

 トヨタ タウンエース キャニオンパッケージ、ライトエース モンタナ


 これを知っているかどうかは、自動車会社社員の職業能力を測るリトマス試験紙になる。「本当はクルマ好きでない」、大企業だから、給料が良いから、という理由で自動車会社を受けてみたら内定されたという社員はごろごろいる。私がいすゞに入社した時「本当はクルマ好きではない」同期が沢山いてとてもがっかりした。彼らは本来必要ない人材だ。なぜならMBAホルダーが経営すると、世界最大だったGMとクライスラーが倒産するのと同じことが起きるからである。自動車会社にとって、クルマ好きというのは最低限必要な職業能力だ。入り口で排除し、常に人事評価時に赤狩りを行わなければならない。
 車が売れないと嘆いているが、魅力の無い車、罵詈雑言に批難される車を作っているのは自分である。元凶は、もちろんクルマ好きではない、自社(他社)の二段ベッド車も知らない採用担当の社員である。結果を見ると自動車会社のトップもクルマ好きなのか非常に疑わしいが、自動車会社のトップは、まず人事部から赤狩りを始めるべきだ。 

(文責:相澤洋次郎)

(外部参考サイト)
 車中泊に適した車(素晴らしいサイト。この人を採用すべき。)
 熊本地震関連死、24%が車中泊を経た死…健康リスク増 2017年4月15日

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