下記の外部関連サイトのように、マツダが「ゆで卵器」を開発した。
 デザイナーは、OJTや経験を積ませれば、才能が伸びると思っている。画家を目指した絵心のない人間ほどこう考えて、人生を無駄にする小説を思い起こす。会社の足を引っ張っているのは、売上を大きく左右する、デザイン部長だろう。
 市場で競争したことのない学生を、「当てずっぽう」で新卒定期採用し、エンジニアや文系社員のように鍛えれば才能が伸びると思っている。運悪く不景気の時の、本当は才能があった新卒は、一生デザイン以外の仕事をして、日本のデザインレベルを下げている。
 デザインセンスは後から植え付けることができるだろうか?マツダのゆで卵器と同じ目的で、昔、日産がインフィニティブランドを立ち上げようとした際、社員を高級ホテルに泊まらせるなどして研修教育をさせていたそうである。今のレクサスの社員も、似たことをしているだろう。そんな教育をさせなくても、才能あるデザイナーなら自分から学ぶはずだし、デザインセンスがあれば一を聞いて十を知るように、容易に高級車のデザインはできるはずである。
 ゆで卵器と聞いて、スタルクのレモン絞り器を思い起こす人は多いだろう。才能のあるスタルクやカリム・ラシッドなどが作るにふさわしく、デザイナーの教育費用に使う必要はない。なぜなら、どの分野の才能であれ、才能というのは生まれつき決まって変えられない体質だからである。スタルクやカリム・ラシッドに教育費用は必要なのか?デザイナーの人事制度は、本当は才能の無かった学生はどんどん解雇して(実際にはデザイン部門が消滅しないかぎり解雇できないのが日本の裁判判決なので人事異動しかできない)、本当に才能があったのか証明された他社の才能のある人材をヘッドハントすべきだ。デザイナーという天賦の才能しか頼れない、教育ができない唯一の職種は、新卒定期採用は一切やめて、全て経験者の中から契約社員で中途採用すべきである。
 ジョナサン・アイブやマーク・ニューソンやジャスパー・モリソンなど、有名デザイナーの数は限られているが、同様に世界の自動車メーカーの数も同数程度に限られている。そして自動車は、プロダクトデザインの最高峰に位置している。従って、人類でトップクラスのデザイナーが、その限られた自動車メーカーのデザイン部長でなければいけないはずだ。日本の自動車メーカーのデザイン部長は、自分が人類の中で十数しかいない有名なデザイナーレベルなのか?自分がジウジアーロやピニンファリーナのレベルなのか?まさか日本の「当てずっぽう」の定期新卒採用から運よく採用され、世界のデザイナーと競争したことのないキャリアのまま、年功序列でいまの職に就いていないだろうか?これが日本の工業デザインを低レベルにさせている元凶である。
 ゆで卵器を作るような、個展を開けるレベルやキャリアを、トヨタやホンダのデザイン部長は持っているのか?個展も開けない才能レベルではないか?本当は、職業能力が低いと自分でわかっていながらその職に就いていては、ゆで卵器を作るような芸術家とは恥ずかしくて言えないだろう。芸術家のようなことをするなら、世界と戦っている芸術家から非難されないよう、自分より才能のあるデザイナー(例えば奥山清行氏)に職を譲るべきである。

(文責:相澤洋次郎)

 

外部関連サイト
http://car.watch.impress.co.jp/docs/news/20160121_739940.html
http://potato.2ch.net/test/read.cgi/bizplus/1454300509/